炎症性腸疾患
(潰瘍性大腸炎、クローン病)
炎症性腸疾患とは
炎症性腸疾患(Inflammatory Bowel Disease:IBD)とは、腸を中心とする消化管粘膜に炎症が生じる疾患の総称です。
原因が明らかなもの(特異的)としては、感染性腸炎や薬剤腸炎などがありますが、一般的には原因不明(非特異的)とされる「潰瘍性大腸炎(Ulcerative Colitis:UC)」と「クローン病(Crohn's Disease:CD)」の2つを総称して、炎症性腸疾患と呼びます。
潰瘍性大腸炎とクローン病は、難病に指定されています。これらの疾患は、症状が落ち着いている状態(寛解期)と、症状が悪化している状態(再燃)を交互に繰り返しながら、慢性的に経過します。
適切に症状をコントロールすることで、通常の日常生活を送ることが可能です。そのためにも、早期診断と適切な治療が重要となります。

潰瘍性大腸炎とクローン病の共通点
潰瘍性大腸炎とクローン病は、どちらも炎症性腸疾患(IBD)に分類され、共通点の多い疾患です。
しかし、病変の発症場所や治療法が異なるため、正確に診断する必要があります。
共通点
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炎症性腸疾患に分類
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若い世代の発症が多い傾向がある
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消化管に慢性的な炎症を起こす
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症状が良くなったり(寛解期)、悪くなったり(活動期・再燃期)を繰り返す
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原因がはっきり分かっていない
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厚生労働省の難病指定を受けている
潰瘍性大腸炎
潰瘍性大腸炎とは
潰瘍性大腸炎(Ulcerative Colitis:UC)は、大腸の粘膜に炎症が生じ、びらん(ただれ)や潰瘍ができる疾患です。
病変の部位は大腸のみで、その範囲も表層の粘膜に限られます。また、炎症は肛門側から連続的に広がるのが特徴です。

代表的な症状
●下痢、血便、腹痛
●(炎症が広がると)体重減少、貧血、発熱
●皮膚や関節、眼に合併症が起こることもある
治療
潰瘍性大腸炎の治療の目標は、症状が落ち着いている状態を長く維持してQOLの向上を目指すことになります。
●薬物療法
潰瘍性大腸炎の治療には、炎症を抑えたり、免疫機能を調整したりするさまざまな薬が用いられます。
そして、それらの薬の種類や投与量を、重症度・病期などにより調整しながら病気をコントロールしていくことになります。
●血球成分除去療法
中等症以上の患者様でステロイド治療の効果が不十分な場合に用いられます。
この治療法は、炎症の引き金になっている白血球の一部を血液から除去する治療法です。
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